大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
「ああ、いつまでもフェルトンで独占的に作っていると、ほかからも狙われる。むしろ、アッシュクロフ国王が、もう一度フェルトンを手にしたいと思っているだろうな。そして、エレノアのことも」
「今まで、さんざんもてあましていた土地を、ろくな対策もせずに人に押しつけてきたというのに。砂糖一つでころっと手のひらを返してくるのね。それに、わたくしはもう二度とジェラルド様と一緒になりたいとは思いませんし、この国の王太子妃になりたいわけでもありません。今は、この事業で手一杯ですから」
 エレノアは両手を腰に当て、プンプンと怒っている。
「……なるほど。では、私にもチャンスがあると思ってもよろしいでしょうか?」
 ホールから続く階段の上には、コンスタッドの姿があった。
「失礼、ちょうど声が聞こえてきたもので。それにエレノア殿との茶会が待ちきれなくてね」
 少しだけ首を傾げて微笑む様子に、エレノアがぽっと頬を赤らめたのをセシリアは見逃さなかった。
「お姉さま。シング公爵をお待たせしては失礼ですよ。今日は天気がいいので、東屋(ガゼボ)がいいと思います。セシリア、みんなに言ってきます」
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