大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
「わたくしがこの場にいないほうが、みなさまも楽しめるでしょう。せっかくのパーティーですもの、最後までお楽しみください。それではごきげんよう」
 その場を去るエレノアの背に、ジェラルドは「待て、まだ話の続きが……」と言いかけていたが、それらは近衛騎士らによってとめられた。
(そうよね。だって国王陛下は、ジェラルド様がこの場で婚約破棄をお姉様に告げるだなんて、知らなかったんですもの。それよりも、ジェラルド様の隣にいたのが聖女イライザ、ってまだ聖女ではないか。それにしてもジェラルド様の瞳と同じ色のドレスだなんて……うぅ……なんか、腹が立ってきたわ)
 エレノアと手をつないで会場をあとにすると、後ろからは両親もしっかりとした足取りでついてくる。
(間違いなくお父様は怒り心頭ね。そういえば、婚約解消の手続きをしぶるんだったわ)
 ジェラルドからの一方的な婚約破棄宣言は誰も受け入れず、エレノアはそのまま彼の婚約者という地位にとどまった。だから学園を卒業したあと、王太子妃教育を受けるために王城へと住まいを移した。
 しかし、ジェラルドの隣にはいつもイライザがいたものの、それでも国王も王妃もまだエレノアを婚約者として認め味方になってくれていたのだ。
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