大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
「どれ、いただいてみようかな」
 父親に食べてもらいたくて仕方ないセシリアは、フォークに『さとう氷』を刺し、口元へと運ぶ父親の様子を、じっくりと見つめていた。
「……これは、美味しいし、食感もおもしろい」
「お父さま。帰るときにはお母さまへお土産に持っていってくださいね」
 今回はシング公爵の案内ということもあり、母親は同行しなかった。
「もちろんだ。まちがいなく、お母様も気に入るよ」
 そう言った父親は、セシリアの頭をポンとなでた。
 これ以上、話しの邪魔をしてはならないと思ったセシリアは、執務室を出る。
 エレノアはレナードと茶会。父親は仕事。
 となれば、セシリアは一人ぽっち。そして、こういうときにかぎってモリスは外に出ている。いや、さとうきび畑の確認に言っているのだ。つまり、仕事である。
 接待も仕事もないセシリアは、厨房に向かうことにした。また、砂糖を使ったお菓子を考えよう。
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