大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
「いやです。セシリアは結婚しません」
「あぁ?」
 セシリアの答えが面白くなかったのか、シオンは紫の目でぎろっと睨みつけてきた。
「おまえ。俺がロックウェルの第二王子だと知っていたんだろ? こうやって身分を明かさずにいたのに。俺に気がついたのは、ケアード公爵以外にはおまえだけだ」
「ロックウェルの王族の方は、髪の色が特徴的です。と、お父さまが言ってました」
「なるほどな。さすが外交に長けているケアード公爵の娘だな。やっぱり、おまえ、俺の嫁になれ」
「いやです」
 そこへティーワゴンを押しながら使用人がやってきた。テーブルの上にはお茶やらお菓子やらが並べられていく。
「シオンさま。これ、セシリアが作りました。食べてください」
 先ほどの結婚話などなかったかのように、セシリアが明るい声をあげる。
 セシリアはシオンにも『さとう氷』をすすめ、父親にしたときと同じような説明をした。
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