大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
「何をだろうか?」
 父親の声が普段よりも低く聞こえた。
「エレノア嬢に結婚の申し込みを」
 シンとその場が静まり返る。エレノアは恥ずかしそうに顔を伏せ、カトラリーを持つ手を動かす。
「なるほど。申し込むのは自由だ。その答えがどうなるかはわからないがな」
「では、そのお言葉に甘えさせていただきます」
 やはり緊張していたのだろう。コンスタッドは残りのワインを一気に飲み干した。
「ダメです」
 セシリアの甲高い声が響いた。
「ダメです。お姉さまは結婚してはダメです。お姉さま、シング公爵と結婚したらロックウェルに行ってしまうのでしょう? いやです。セシリア、寂しいです」
「そういうことのようだ、シング公爵」
 なぜか父親が勝ち誇った笑みを浮かべている。
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