大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
「あの。お砂糖はお薬にもなります。もし、咳が酷いのであれば、砂糖をお湯にとかして湯気を吸い込むようにしながら、ゆっくり飲むといいですよ。でも、身体が冷えているのであれば、黒いお砂糖のほうがいいのですが、まだ黒いお砂糖は作っていません」
「セシリア」
 父親に名を呼ばれ、はっとしてセシリアは口をつぐんだ。
「申し訳ない。セシリアは、砂糖のことになると、夢中になってしまって。今も、次のお菓子のレシピでも考えていたのかな?」
 コクコクと頷いて、スープ皿にスプーンを突っ込んだ。
 この場にはコンスタッドもシオンもいる。セシリアの能力が知られてしまうのはよくない。
 そこから父親が話題をかえ、コンスタッドたちと談笑にふけった。

 シオンとコンスタッドがロックウェル王国へ戻るという。
「ケアード公爵。とても有意義な時間を過ごさせていただきました。何かありましたら、私たちを頼ってください」
 コンスタッドが父親と熱く握手を交わすものの、父親は複雑な表情をしていた。それはコンスタッドであれば、エレノアを任せられると、そう思っているからなのだろう。
< 52 / 53 >

この作品をシェア

pagetop