大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 ここまでが物語の前半で、後半はいろいろと反発し合いながらもイライザとジェラルドが結ばれる物語であったはず。
(誰のいつの記憶かわからないけれど、このままではお姉様が禁忌魔法に手を出した挙げ句、処刑されてしまうのがわかったわ。そうなれば、我が公爵家は取り潰しよね……)
 隣に座るエレノアの顔を見上げた。ガタガタと微かに揺れる馬車の中は、しんと静まり返っていた。
 エレノアと目が合う。彼女はセシリアに向かってやさしく微笑みかけた。
「どうしたの? セシリア。眠かったら眠ってしまってもいいわよ。着いたら、お父様が部屋まで連れていってくれるはずだから」
 琥珀色の目を細くして、エレノアはセシリアの頭をゆっくりとなでる。それに甘えて、セシリアは姉に寄りかかるようにして目を閉じた。
 さて、ここからが問題だ。よくわからない記憶によれば、エレノアは禁忌魔法に手を出したうえに処刑されるのだ。からの、公爵家の取り潰し。
(きっかけは、お父様が婚約解消をしぶったから……。それに、国王陛下も王妃様も、お姉様のことを気に入ってくださっているから、婚約を解消したくなかったのよね。だからお姉様もジェラルド様をあきらめきれないのよね……いや、むしろプライド? てことは、さっさと婚約解消させてしまえばいいのだわ。問題は、お父様をどうやって説得するか……)
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