大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 セシリアはまだ七歳だというのに、わからない記憶が流れ込んできたせいで、一気に大人になってしまったような気がした。まるで、長い眠りから目覚めたような。
 それでもセシリアとして生きてきた七年間の記憶はばっちりと残っている。そして身体も七歳のまま。思考だけは年齢よりも大人びているが、見た目や行動は今までのセシリアとなんらかわりはなかった。
 そのため、心地よい馬車の揺れに負けてしまい、うとうとと眠ってしまう。
 ――セシリアも重くなったなぁ。
 ――でも、寝顔はまだまだ子どもよ。あら、よだれまで。
 ――セシリア、今日はありがとう。大好きよ。
 セシリアは家族が大好きだ。外交大臣を務めている父に、おっとりとしている母。そして六年間、学園で勉学に励み、立派な王太子妃になろうと努力してきた姉。
 この家族を守りたいと、父親に背負われ夢うつつのセシリアは、考えていたのだった。
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