大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
2:大好きなお姉さまに気づかれました
 セシリアは夢をみていた。
 卒業パーティーでジェラルドの隣にいたイライザは、商売人の娘だったが母親が下位貴族の出だった。
 母親は家に出入りしていた商人と駆け落ちをして、国の外れの田舎に居をかまえた。そこで授かったのがイライザだ。
 イライザは生まれながらにして魔力を備えていたわけではない。それは魔法貴族の血が半分しか流れていないのが原因だった。
 しかし十五歳で魔力が出現し、焦った母親が生家に連絡をいれ、家を継いでいた母親の兄――伯父の養女となった。
 そんななかイライザは、十六歳になる年に魔法学園の後期課程一年として入学してきた。後期課程からという中途半端な時期に入学してきたイライザに、最初に声をかけたのはエレノアだ。イライザが心細いだろうという気持ちからの行動であったが、どうやらイライザのなかでは「余計なお世話」に分類されたらしい。
 最初は、エレノアをはじめとする幾人かの女子生徒がイライザに声をかけていた。そのたびに、彼女が鬱陶しいとでも言いたげな態度をとるため、自然と誰もが声をかけなくなった。
 ところが、一人でぽつんとしているイライザの姿にジェラルドが興味を示す。一国の王子という立場もあり、正義感も働いたのだろう。
< 8 / 53 >

この作品をシェア

pagetop