大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 ジェラルドが声をかけると、イライザは堰を切ったように話し始めた。中途半端な時期からの入学で勉強が大変だ、ほかの生徒は話しかけても無視をする、など。
 ジェラルドは婚約者のエレノアに相談するも、エレノア自身がイライザとの付き合い方に悩んでいた。
 そんなエレノアの様子が、ジェラルドにはイライザを仲間はずれにしているように見えたのだ。
 だからジェラルド本人がイライザの面倒をみ始め、それによってジェラルドの側にいた魔法貴族の子息たちも、イライザとの距離を縮めていく。そうなれば、ほかの令嬢たちも騒ぎ始め――。
(え? これって、ジェラルド様がまんまとイライザ様の思惑にはまってしまったのでは?)
「――セシリア、朝よ。起きなさい」
 鈴を転がすような声が聞こえて、セシリアは目を開ける。
「あ、お姉さま。おはようございます」
「おはよう、セシリア。あなたがなかなか目覚めないから、アニーが困っていたわ。昨日は、よっぽど疲れていたのね」
 アニーがいくら声をかけてもセシリアが起きないため、困り果てた彼女は両親とエレノアに助けを求めたようだ。そしてその話を聞いたエレノアが、わざわざ部屋にまでやってきて、こうやって起こしてくれたわけだ。
< 9 / 53 >

この作品をシェア

pagetop