キミの隣が好き
母はギャンブルには興味がなかった。母が好きなのは、買い物と美容。
ギャンブルをやめられないというのは……母が再婚した相手、つまり、私の実父ではないのか? だから私を気遣って、「誰でもない」だなんて下手な嘘をついたのでは?
顔も名前も知らない。会ったこともない。それでも、血の繋がりがある人。
ギャンブルをやめられない人が自分の父親なのかと思うと、悲しくなる。その人の血が自分の中にも流れているかと思うと、消えてしまいたいほどに惨めな気分。
父は寝室に入り、私は父が使っていた座布団に頭を乗せて、横になった。目をつぶると、涙が皮膚の上を滑り落ちていった。
右手に持っているスマホの表面を、親指で撫でる。
焼肉屋の帰り。告白しようとしたら、水都にストップをかけられた。
「私ね、水都のことずっと、す……」
「えっ⁉︎ ちょっと待って!! 言わないで!! 僕から言うから!」
「え?」
「クリスマスまで、待って!」
「う、うん」
そういうことで、告白は取り止めになった。
クリスマスまで、あと一ヶ月。そわそわする気持ちと不安がごちゃ混ぜになる。
(水都は、こんな私でいいのかな……)
悩むこと、三十分。水都にメールを送る。
まずは、今日のお礼。それから、両親のこと。
『私の産んだ両親は、いい人じゃない。お金のことで、もしかしたらこの先、水都に迷惑をかけるかもしれない。そういうの、嫌だ』
嫌だったら、どうだというのだろう。その先をあえて言わずに、水都に決めさせようとしている。私は卑怯だ。
メールを送り、まぶたの上に腕を乗せる。
スマホの向こうで、水都が返信に悩んでいるのが容易に想像できる。
送らなければよかったとの後悔でうじうじしていると、水都からメールがきた。
『僕たちだけで何かを決めずに、僕の両親とゆらりちゃんのお父さんに相談していこう。一人で抱え込まなくて大丈夫。この先何かあったら、一番に僕に教えて』
涙がこぼれる。けれど、唇は幸せな微笑を浮かべている。
水都は、私を突き離さないでいてくれる。
水都に出会えてよかった。この人を好きになってよかった。仲直りできて、本当によかった。
ギャンブルをやめられないというのは……母が再婚した相手、つまり、私の実父ではないのか? だから私を気遣って、「誰でもない」だなんて下手な嘘をついたのでは?
顔も名前も知らない。会ったこともない。それでも、血の繋がりがある人。
ギャンブルをやめられない人が自分の父親なのかと思うと、悲しくなる。その人の血が自分の中にも流れているかと思うと、消えてしまいたいほどに惨めな気分。
父は寝室に入り、私は父が使っていた座布団に頭を乗せて、横になった。目をつぶると、涙が皮膚の上を滑り落ちていった。
右手に持っているスマホの表面を、親指で撫でる。
焼肉屋の帰り。告白しようとしたら、水都にストップをかけられた。
「私ね、水都のことずっと、す……」
「えっ⁉︎ ちょっと待って!! 言わないで!! 僕から言うから!」
「え?」
「クリスマスまで、待って!」
「う、うん」
そういうことで、告白は取り止めになった。
クリスマスまで、あと一ヶ月。そわそわする気持ちと不安がごちゃ混ぜになる。
(水都は、こんな私でいいのかな……)
悩むこと、三十分。水都にメールを送る。
まずは、今日のお礼。それから、両親のこと。
『私の産んだ両親は、いい人じゃない。お金のことで、もしかしたらこの先、水都に迷惑をかけるかもしれない。そういうの、嫌だ』
嫌だったら、どうだというのだろう。その先をあえて言わずに、水都に決めさせようとしている。私は卑怯だ。
メールを送り、まぶたの上に腕を乗せる。
スマホの向こうで、水都が返信に悩んでいるのが容易に想像できる。
送らなければよかったとの後悔でうじうじしていると、水都からメールがきた。
『僕たちだけで何かを決めずに、僕の両親とゆらりちゃんのお父さんに相談していこう。一人で抱え込まなくて大丈夫。この先何かあったら、一番に僕に教えて』
涙がこぼれる。けれど、唇は幸せな微笑を浮かべている。
水都は、私を突き離さないでいてくれる。
水都に出会えてよかった。この人を好きになってよかった。仲直りできて、本当によかった。