キミの隣が好き
岩橋結斗目線
俺に可愛い彼女ができた!!
名前は、前川亜由奈ちゃん。中学校のときのクラスメートで、高校は別。
たまたま本屋で再会して、併設されているカフェでお茶をして、一緒に店を出て。その帰り道に、告白された。
「岩橋くん、好きです。中学校のときから好きだったんだけど、言えなくて……」
亜由奈ちゃんは今にも泣きそうな顔でおどおどしながら、想いを伝えてくれた。真っ赤に染まった頬が可愛かった。
ハートがビーンと痺れた。この子を幸せにしたい、って思った。
俺たちは付き合いだし、朝晩のメールのやり取りをして、休みの日はデートをして。
亜由奈ちゃんはいい子だ。ゆらりちゃんもいい子だけれど、タイプが違う。
亜由奈ちゃんは自分の意見をあまり言わない。相手に合わせるほうが楽だと言って、俺に決めさせたがる。
「どこに行きたい? 岩橋くんが決めて」
「どれが美味しいと思う?」
「これとこれ、どっちが可愛い?」
「明日の天気微妙だね。傘、持っていったほうがいいと思う?」
そのくらい自分で決めれば? と思うけれど、言えない。亜由奈ちゃんはいい子だし、俺のことが好き。
自分で決められないという一点を除いて、嫌な部分はない。
そうなんだけど──……。
「みなっちぃー。恋ってどういうもの?」
ゆらりちゃんはバイトがあるからと、そそくさと帰ってしまった。その後を追うようにして廊下に出た水都。すぐさま声をかけて、一緒に帰ることに成功した。
恋とはなにか訊ねた俺に、水都は眉をひそめた。
「彼女と喧嘩した?」
「そういうんじゃなくてさ、なんていうか……好きってなんだろうって感じ」
「好きがわからないってことは、彼女のこと、好きじゃないんじゃない?」
「好きじゃないってことは、ないと思うんだけど……」
彼女は優柔不断で、なんでも俺に聞いてくるのだと相談した。それを、プレッシャーに感じていることも話した。
「ファミレスに行ってさ、どれが美味しいか聞かれても、そういうのってそれぞれの味覚があるじゃん。すげー困る。だけど、亜由奈ちゃんが悪いわけじゃないんだ! 話聞いているとさ、亜由奈ちゃんのお母さんって、何にでも口出ししてくるみたいなんだ。亜由奈ちゃんはお母さんの言うとおりに育ってきたから、自分で決めるのが苦手みたい」
「危険な人だね。岩橋に従っていたら、崖から落ちるのに」
「どういう意味だよ!」
「だって、岩橋。深く考えないよね? その場の流れで、思いついたままに答えを出している。僕なら岩橋に頼らない。不安しかない」
「みなっち、ひどいー! でも、俺のことよくわかっているぅー!!」
俺には、年の離れた姉が二人いる。甘やかされて育ったせいか頼られるのが苦手だし、深く考えるのも、答えを出すのも苦手。
頼られるよりも、みなっちのような頼りになる人に従っていきたいタイプ。
「ゆらりちゃんってさ、自分の意見をちゃんと持っているよね。いいよなぁ……。俺やっぱり、ゆらりちゃんがいい! みなっち、ゆらりちゃんを譲ってっ!!」
「無理。嫌だ」
俺はがっくりと肩を落とし、この後の水都のセリフにトドメを刺された。
「そのうち、別れそう」
水都は預言者なのだろうか? この会話の一週間後に、亜由奈ちゃんのほうから別れを切り出された。
「ごめんなさい。付き合ってみたら、違うなって……」
違うって思っていたのは俺もだけど、告白された相手から振られるっていうのは、非常にカッコ悪い。
名前は、前川亜由奈ちゃん。中学校のときのクラスメートで、高校は別。
たまたま本屋で再会して、併設されているカフェでお茶をして、一緒に店を出て。その帰り道に、告白された。
「岩橋くん、好きです。中学校のときから好きだったんだけど、言えなくて……」
亜由奈ちゃんは今にも泣きそうな顔でおどおどしながら、想いを伝えてくれた。真っ赤に染まった頬が可愛かった。
ハートがビーンと痺れた。この子を幸せにしたい、って思った。
俺たちは付き合いだし、朝晩のメールのやり取りをして、休みの日はデートをして。
亜由奈ちゃんはいい子だ。ゆらりちゃんもいい子だけれど、タイプが違う。
亜由奈ちゃんは自分の意見をあまり言わない。相手に合わせるほうが楽だと言って、俺に決めさせたがる。
「どこに行きたい? 岩橋くんが決めて」
「どれが美味しいと思う?」
「これとこれ、どっちが可愛い?」
「明日の天気微妙だね。傘、持っていったほうがいいと思う?」
そのくらい自分で決めれば? と思うけれど、言えない。亜由奈ちゃんはいい子だし、俺のことが好き。
自分で決められないという一点を除いて、嫌な部分はない。
そうなんだけど──……。
「みなっちぃー。恋ってどういうもの?」
ゆらりちゃんはバイトがあるからと、そそくさと帰ってしまった。その後を追うようにして廊下に出た水都。すぐさま声をかけて、一緒に帰ることに成功した。
恋とはなにか訊ねた俺に、水都は眉をひそめた。
「彼女と喧嘩した?」
「そういうんじゃなくてさ、なんていうか……好きってなんだろうって感じ」
「好きがわからないってことは、彼女のこと、好きじゃないんじゃない?」
「好きじゃないってことは、ないと思うんだけど……」
彼女は優柔不断で、なんでも俺に聞いてくるのだと相談した。それを、プレッシャーに感じていることも話した。
「ファミレスに行ってさ、どれが美味しいか聞かれても、そういうのってそれぞれの味覚があるじゃん。すげー困る。だけど、亜由奈ちゃんが悪いわけじゃないんだ! 話聞いているとさ、亜由奈ちゃんのお母さんって、何にでも口出ししてくるみたいなんだ。亜由奈ちゃんはお母さんの言うとおりに育ってきたから、自分で決めるのが苦手みたい」
「危険な人だね。岩橋に従っていたら、崖から落ちるのに」
「どういう意味だよ!」
「だって、岩橋。深く考えないよね? その場の流れで、思いついたままに答えを出している。僕なら岩橋に頼らない。不安しかない」
「みなっち、ひどいー! でも、俺のことよくわかっているぅー!!」
俺には、年の離れた姉が二人いる。甘やかされて育ったせいか頼られるのが苦手だし、深く考えるのも、答えを出すのも苦手。
頼られるよりも、みなっちのような頼りになる人に従っていきたいタイプ。
「ゆらりちゃんってさ、自分の意見をちゃんと持っているよね。いいよなぁ……。俺やっぱり、ゆらりちゃんがいい! みなっち、ゆらりちゃんを譲ってっ!!」
「無理。嫌だ」
俺はがっくりと肩を落とし、この後の水都のセリフにトドメを刺された。
「そのうち、別れそう」
水都は預言者なのだろうか? この会話の一週間後に、亜由奈ちゃんのほうから別れを切り出された。
「ごめんなさい。付き合ってみたら、違うなって……」
違うって思っていたのは俺もだけど、告白された相手から振られるっていうのは、非常にカッコ悪い。