キミの隣が好き
水都目線③
朝から喉が痛かった。乾燥のせいで喉が痛いのかと思っていたら、次第に体がだるくなり、寒気までしてきた。
「やばい、風邪かも……」
「大丈夫?」
心配するゆらりちゃんに、僕は「一晩寝れば大丈夫だから」と笑ってみせた。
午前中で早退して、家に帰る。
僕は風邪を引くことにも体調を崩すことにも慣れているので、友達と出かけている母に、「一人で病院に行くから大丈夫。急いで戻ってこなくていいから」と、電話で伝えた。
午後の診療が始まるまで家で休み、時間になったら一人で家を出て、近所にある病院に向かう。
待合室にはすでに十人ほどの患者が待っていて、僕は悪寒に震えながら順番を待った。
「情けない……」
クリスマスは四日後。ゆらりちゃんに告白すると決めている。
学校終わりに制服のまま、近場にあるイルミネーションの綺麗な公園に行って、プレゼントを渡して、告白をする。
告白のセリフも、もう決めてある。
「今までもこれからもずっと好きです。僕の彼女になってください」
公園の下見に行ったし、シミュレーションもバッチリなのに、肝心の体調は最悪。
だけど、まだ時間はある。早めに治して、ゆらりちゃんに告白しなくては!!
しかし、検査した結果。インフルエンザであることが判明。
「岩橋めっ!!」
インフルエンザで休んでいる岩橋。彼から移った可能性が高い。
岩橋への八つ当たりと、感染症に罹りやすい自分に対する情けなさと、クリスマス前に体調を崩した絶望。
体を引きずるようにふらふらと歩いていると、家の前に佐々木萌華が立っていた。
僕を見た瞬間、彼女はパッと華やかな笑顔を見せた。けれど、それどころじゃない。体がだるい。休みたい。
「水都くん! 会いたくなって来ちゃった。デートしよう」
「無理」
「私のこと、好きなんでしょう? 遠慮しなくていいんだよ。人気モデルだけど、心は普通の女の子だもん!」
「遠慮していない。川瀬さんのは嘘だから」
川瀬さんは、佐々木萌華をゆらりちゃんのライバルにするために、嘘を吹き込んだ。僕は本当は佐々木さんを好きだけれど、モデルの仕事を邪魔してはいけないと思って遠慮している。そのような嘘をついた。そしてそれを、佐々木さんは信じた。
「やばい、風邪かも……」
「大丈夫?」
心配するゆらりちゃんに、僕は「一晩寝れば大丈夫だから」と笑ってみせた。
午前中で早退して、家に帰る。
僕は風邪を引くことにも体調を崩すことにも慣れているので、友達と出かけている母に、「一人で病院に行くから大丈夫。急いで戻ってこなくていいから」と、電話で伝えた。
午後の診療が始まるまで家で休み、時間になったら一人で家を出て、近所にある病院に向かう。
待合室にはすでに十人ほどの患者が待っていて、僕は悪寒に震えながら順番を待った。
「情けない……」
クリスマスは四日後。ゆらりちゃんに告白すると決めている。
学校終わりに制服のまま、近場にあるイルミネーションの綺麗な公園に行って、プレゼントを渡して、告白をする。
告白のセリフも、もう決めてある。
「今までもこれからもずっと好きです。僕の彼女になってください」
公園の下見に行ったし、シミュレーションもバッチリなのに、肝心の体調は最悪。
だけど、まだ時間はある。早めに治して、ゆらりちゃんに告白しなくては!!
しかし、検査した結果。インフルエンザであることが判明。
「岩橋めっ!!」
インフルエンザで休んでいる岩橋。彼から移った可能性が高い。
岩橋への八つ当たりと、感染症に罹りやすい自分に対する情けなさと、クリスマス前に体調を崩した絶望。
体を引きずるようにふらふらと歩いていると、家の前に佐々木萌華が立っていた。
僕を見た瞬間、彼女はパッと華やかな笑顔を見せた。けれど、それどころじゃない。体がだるい。休みたい。
「水都くん! 会いたくなって来ちゃった。デートしよう」
「無理」
「私のこと、好きなんでしょう? 遠慮しなくていいんだよ。人気モデルだけど、心は普通の女の子だもん!」
「遠慮していない。川瀬さんのは嘘だから」
川瀬さんは、佐々木萌華をゆらりちゃんのライバルにするために、嘘を吹き込んだ。僕は本当は佐々木さんを好きだけれど、モデルの仕事を邪魔してはいけないと思って遠慮している。そのような嘘をついた。そしてそれを、佐々木さんは信じた。