キミの隣が好き
川瀬さんのことは落ち着いたのに、佐々木さんがこうやって会いにくるから困る。彼女はしつこい。
「クリスマス、今ならフリーだよ。私のこと、独占していいんだよ」
「結構です」
「もぉ! 意地悪なことばかり言うなら、私、他の人と遊んじゃうよ!」
佐々木さんはウルウルとした瞳で、僕を見上げた。
きっとこの人は、可愛いのだと思う。他の男子ならグラっとくるだろう、吸い込まれそうなほどに綺麗な瞳。
だけど僕は、早く帰ってくれないかな、とうんざりする。
「ねぇ、水都くん。これが最後のチャンスだよ。良い返事をくれないなら、他の人と付き合っちゃうよ? 私モテるんだから。私を彼女にしたら、みんなに自慢できるよ」
「何度も言っているけれど、好きじゃない。無理」
佐々木さんは拗ねて、プクゥっと頬を膨らませた。
「水都くんって、女の子を見る目がない!」
「僕はダメ人間なんで。記憶から消してください」
「ダメだなんて、そんなことない!! 私、水都くんのことが本気で好きなの! 諦めきれない。だって、大好きな顔なんだもん。私と付き合えないっていうなら、整形して顔を変えてよ!!」
そんな無茶な……と思うけれど、佐々木さんはそういう人だ。僕は佐々木さんと出会ったことで、世の中には自分の想像が及ばない考えの人がいる。というのを知った。
「そんなに僕と付き合いたいのなら、いいよ」
「え? 本当⁉︎」
「うん。その代わり、一秒後に別れてもいい?」
「最低ーーーっ!!」
バチンっ!!
左の頬に痛みが走り、燃えるようにカッと熱くなった。ビンタされたのだ。
「水都くんなんて嫌いっ! 最後のチャンスをあげたのに!! 後悔しても遅いんだから!!」
僕は最初から佐々木さんが嫌いだったし、チャンスが欲しいと思ったことはないし、後悔することも一生ない。
ぷんぷん怒りながら、佐々木さんは去った。最後までよくわからない人だった、という感想しかない。
「めまいがする……」
体調が悪化している。よろめくようにして家に入り、洗面所で手と顔を洗う。
僕は神経質だし、潔癖症なところがある。どんなに体調が悪くても、手を洗わない、外出着を脱がないという選択肢はない。
洗い立てのパジャマに着替え、ようやくベッドに入って落ち着くことができた。
体がひどくだるいし、熱い。体も痛みだした。なにもかもが最悪。
「ゆらりちゃんを吸いたい」
なにを言っているんだ、自分。でも、ゆらりちゃんを後ろから抱きしめて、首元に顔を埋めて、ゆらりちゃんの匂いを思いっきり吸いたい。そしたら、元気になれる気がする。
そんなことを考えながら、うつらうつらと眠りに就いた。
「クリスマス、今ならフリーだよ。私のこと、独占していいんだよ」
「結構です」
「もぉ! 意地悪なことばかり言うなら、私、他の人と遊んじゃうよ!」
佐々木さんはウルウルとした瞳で、僕を見上げた。
きっとこの人は、可愛いのだと思う。他の男子ならグラっとくるだろう、吸い込まれそうなほどに綺麗な瞳。
だけど僕は、早く帰ってくれないかな、とうんざりする。
「ねぇ、水都くん。これが最後のチャンスだよ。良い返事をくれないなら、他の人と付き合っちゃうよ? 私モテるんだから。私を彼女にしたら、みんなに自慢できるよ」
「何度も言っているけれど、好きじゃない。無理」
佐々木さんは拗ねて、プクゥっと頬を膨らませた。
「水都くんって、女の子を見る目がない!」
「僕はダメ人間なんで。記憶から消してください」
「ダメだなんて、そんなことない!! 私、水都くんのことが本気で好きなの! 諦めきれない。だって、大好きな顔なんだもん。私と付き合えないっていうなら、整形して顔を変えてよ!!」
そんな無茶な……と思うけれど、佐々木さんはそういう人だ。僕は佐々木さんと出会ったことで、世の中には自分の想像が及ばない考えの人がいる。というのを知った。
「そんなに僕と付き合いたいのなら、いいよ」
「え? 本当⁉︎」
「うん。その代わり、一秒後に別れてもいい?」
「最低ーーーっ!!」
バチンっ!!
左の頬に痛みが走り、燃えるようにカッと熱くなった。ビンタされたのだ。
「水都くんなんて嫌いっ! 最後のチャンスをあげたのに!! 後悔しても遅いんだから!!」
僕は最初から佐々木さんが嫌いだったし、チャンスが欲しいと思ったことはないし、後悔することも一生ない。
ぷんぷん怒りながら、佐々木さんは去った。最後までよくわからない人だった、という感想しかない。
「めまいがする……」
体調が悪化している。よろめくようにして家に入り、洗面所で手と顔を洗う。
僕は神経質だし、潔癖症なところがある。どんなに体調が悪くても、手を洗わない、外出着を脱がないという選択肢はない。
洗い立てのパジャマに着替え、ようやくベッドに入って落ち着くことができた。
体がひどくだるいし、熱い。体も痛みだした。なにもかもが最悪。
「ゆらりちゃんを吸いたい」
なにを言っているんだ、自分。でも、ゆらりちゃんを後ろから抱きしめて、首元に顔を埋めて、ゆらりちゃんの匂いを思いっきり吸いたい。そしたら、元気になれる気がする。
そんなことを考えながら、うつらうつらと眠りに就いた。