キミの隣が好き
 水都の家が見えてきた。カラフルな電飾がチカチカと瞬いている。塀や庭の木々に光っているのは、サンタやトナカイや雪だるまの電飾。

(さすがは金持ち。電気代がかかっても苦じゃないんだね)

 我が家は電気代を抑えるために、家の中でも着込んでいる。
 家を囲む塀に郵便受けがあった気がする、と考えていると、その郵便受けの前に水都が立っていた。

「どうして外にいるの⁉︎ 体調は大丈夫なの?」
「うん、大丈夫」

 水都はマスクをしているし、ニット帽をすっぽりと被っている。おまけに夜ということで、顔色がわからない。話し方はしっかりしているが、病み上がりの水都を無理させてはいけない。

「メールしたから、出てきてくれたんだよね? ごめんね。家に帰ってから、メールするんだった」
「そんなことしたら、怒るから」
「どうして?」
「メールがきて、すごく嬉しかった。ゆらりちゃんに会いたいって思っていたから」

 会いたいと思っていたのは、私だけじゃなかった。感動して胸が震える。

「少し、時間ある? 話したいことがあるんだ」
「うん。少しなら大丈夫だよ」

 ここで話すのかと思ったら、水都は門扉を開けた。庭に招かれる。
 外からでも、庭の木々に電飾が光っているのは見えていた。けれど、中に入ると格別。薔薇のアーチに青い電飾が巻かれていて、光のトンネルになっている。
 庭を飾るクリスマスイルミネーションの効果なのか、体温が上がって暖かくなったような気がするから不思議。

「わーっ! すっごい素敵!!」
「外でごめん。寒いから家の中がいいんだろうけれど、今日は両親が揃っているから……」
「えっ⁉︎ じゃ、挨拶したほうがいいよね!」
「いいから! ホント、今日はしなくていいから」

 含みのある言い方が気になる。気になることはもう一つ。水都が片手に持っているラッピング袋。今日という日からして、クリスマスプレゼントだろう。

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