キミの隣が好き
翌朝。教室に入って早々、友達の町田魅音が寄ってきた。
「ゆらり! 驚かないで。落ち着いて聞いて。いい? 落ち着いてよ。とり乱さないで。これから衝撃的なことを話す」
「ええっ⁉︎ なになに。宇宙人に学校が乗っ取られたとか?」
「ちょっと!! ハードルを高くしないで」
魅音は拗ねたように唇を尖らせたが、すぐに好奇心を剥き出しの顔に戻った。
「水都くんが、高梨ひなに告白されたんだって! なのに、振ったらしい!!」
「あー……うん」
「なにその、冷めた反応。学校一の美少女に告られたのに、振ったんだよ!!」
「驚かないでって言ったのは誰よ?」
「うちですが。それがなにか?」
私は自分の机に鞄を置くと、水都の席を見た。廊下側の前から二番目は、案の定、空席。水都は時間ギリギリに登校してくる。
「魅音。絶対に誰にも話さないって約束できる?」
「んー、難しいな。超絶おもしろいことだったら、話しちゃう」
「だったら大丈夫。そこまでおもしろくはないから」
「オッケー。だったら秘密にする」
「昨日の放課後。その告白現場を見てしまった」
「えぇっ! 超絶おもしろいじゃん!! ゆらり様、詳しく話して!」
「でも、誰かに話しちゃうんでしょう?」
「王様の耳はロバの耳みたいに、穴に向かって話すとするわ」
名は体を表すというのは本当だと思う。魅力的な音と書いて、魅音。魅音は合唱部に所属している。声が綺麗だし、滑舌も良い。
私は特徴ある声ではないし、歌が下手。
魅音は癖の強い性格をしているが、大好きな友達だ。
私は昨日のことを話した。
魅音はこぼれそうなほどに大きな目を、さらに大きくした。
「まさか、それで終わりじゃないよね?」
「終わりだよ」
「いやいやいや、謎が多すぎる!!」
「謎って?」
「まず、水都くんは好きな子がいるのかいないのか。高梨ひなのなにが嫌だったのか。そして、かっこいいと言われて不機嫌になったのはなぜか?」
「そこは私も気になったけど、本人に確かめるわけにはいかな……」
慌てて口を噤む。水都が教室に入ってきた。
水都は私を見ることなく、いつもどおりのポーカーフェイスで席に座った。
「ゆらり! 驚かないで。落ち着いて聞いて。いい? 落ち着いてよ。とり乱さないで。これから衝撃的なことを話す」
「ええっ⁉︎ なになに。宇宙人に学校が乗っ取られたとか?」
「ちょっと!! ハードルを高くしないで」
魅音は拗ねたように唇を尖らせたが、すぐに好奇心を剥き出しの顔に戻った。
「水都くんが、高梨ひなに告白されたんだって! なのに、振ったらしい!!」
「あー……うん」
「なにその、冷めた反応。学校一の美少女に告られたのに、振ったんだよ!!」
「驚かないでって言ったのは誰よ?」
「うちですが。それがなにか?」
私は自分の机に鞄を置くと、水都の席を見た。廊下側の前から二番目は、案の定、空席。水都は時間ギリギリに登校してくる。
「魅音。絶対に誰にも話さないって約束できる?」
「んー、難しいな。超絶おもしろいことだったら、話しちゃう」
「だったら大丈夫。そこまでおもしろくはないから」
「オッケー。だったら秘密にする」
「昨日の放課後。その告白現場を見てしまった」
「えぇっ! 超絶おもしろいじゃん!! ゆらり様、詳しく話して!」
「でも、誰かに話しちゃうんでしょう?」
「王様の耳はロバの耳みたいに、穴に向かって話すとするわ」
名は体を表すというのは本当だと思う。魅力的な音と書いて、魅音。魅音は合唱部に所属している。声が綺麗だし、滑舌も良い。
私は特徴ある声ではないし、歌が下手。
魅音は癖の強い性格をしているが、大好きな友達だ。
私は昨日のことを話した。
魅音はこぼれそうなほどに大きな目を、さらに大きくした。
「まさか、それで終わりじゃないよね?」
「終わりだよ」
「いやいやいや、謎が多すぎる!!」
「謎って?」
「まず、水都くんは好きな子がいるのかいないのか。高梨ひなのなにが嫌だったのか。そして、かっこいいと言われて不機嫌になったのはなぜか?」
「そこは私も気になったけど、本人に確かめるわけにはいかな……」
慌てて口を噤む。水都が教室に入ってきた。
水都は私を見ることなく、いつもどおりのポーカーフェイスで席に座った。