キミの隣が好き
メールがきた。岩橋かと思ったら、佐々木萌華からでがっかりする。
佐々木萌華は、中学校の同級生。強引に腕を組まされたところをゆらりちゃんに見られてしまったという、過去がある。
『同じダンススールに、川瀬杏樹ちゃんがいるんだ。同じ高校なんだってね』
だからなに? と思う。
既読をつけてしまったが、このまま放置しようとした矢先。
新たな通知が来た。
『杏樹ちゃん。ゆらりって子の悪口言っていたよ』
佐々木萌華は、ゆらりちゃんのことを知らないはずだ。杏樹がなにを言ったのだろう?
心臓がどくどくと、嫌な音を立てる。
数日前。
杏樹がゆらりちゃんに話しかけているのを見て、驚いた。ゆらりちゃんに聞いてみたら、謝罪され、友達になったとのこと。
僕はその日のうちに、学校の近くにある公園に杏樹を呼びだした。
「ゆらりちゃんをいじめたら、絶対に許さないから!」
「やだなぁー。そんな怖い顔しないでよ。私、友達のこといじめたりしないよ。二人の恋を応援しているんだから。もしかして、ゆらりちゃん。私のこと、悪く言っていた?」
「心を入れ替えたみたいだって。僕たちが仲直りしたことを喜んでいたって、話していた」
杏樹は微妙な顔をした。
僕はなぜか、杏樹が傷ついているように見えた。
「そっか。ゆらりちゃんって、性格いいよね。人の悪口を絶対に言わない……。そうだよ。私、変わったんだ。だから、昔と同じような目で見ないでよ」
「でも僕は、川瀬さんを信じられない。ゆらりちゃんが信じても、僕は信じないから」
「わかっている。絶交させたんだもん。怒るの、当然だよね」
杏樹は寂しそうに笑った。
僕はほんの少し、杏樹に同情している。
僕は彼女のことを、心の弱い人間だと思っている。威張ったり、悪口を言ったり、気の弱い人をいじめることでしか自分に自信を持てない。他者との関係性の中でしか、自分を確立できない。
そうやって確立したものだって、砂山の上に立っているようなもの。
自分の心に向き合いなよ。と言いたいけれど、通じないだろう。
僕はもう一度、
「ゆらりちゃんを傷つけたら、絶対に許さないから」
と念押しした。
佐々木萌華は、中学校の同級生。強引に腕を組まされたところをゆらりちゃんに見られてしまったという、過去がある。
『同じダンススールに、川瀬杏樹ちゃんがいるんだ。同じ高校なんだってね』
だからなに? と思う。
既読をつけてしまったが、このまま放置しようとした矢先。
新たな通知が来た。
『杏樹ちゃん。ゆらりって子の悪口言っていたよ』
佐々木萌華は、ゆらりちゃんのことを知らないはずだ。杏樹がなにを言ったのだろう?
心臓がどくどくと、嫌な音を立てる。
数日前。
杏樹がゆらりちゃんに話しかけているのを見て、驚いた。ゆらりちゃんに聞いてみたら、謝罪され、友達になったとのこと。
僕はその日のうちに、学校の近くにある公園に杏樹を呼びだした。
「ゆらりちゃんをいじめたら、絶対に許さないから!」
「やだなぁー。そんな怖い顔しないでよ。私、友達のこといじめたりしないよ。二人の恋を応援しているんだから。もしかして、ゆらりちゃん。私のこと、悪く言っていた?」
「心を入れ替えたみたいだって。僕たちが仲直りしたことを喜んでいたって、話していた」
杏樹は微妙な顔をした。
僕はなぜか、杏樹が傷ついているように見えた。
「そっか。ゆらりちゃんって、性格いいよね。人の悪口を絶対に言わない……。そうだよ。私、変わったんだ。だから、昔と同じような目で見ないでよ」
「でも僕は、川瀬さんを信じられない。ゆらりちゃんが信じても、僕は信じないから」
「わかっている。絶交させたんだもん。怒るの、当然だよね」
杏樹は寂しそうに笑った。
僕はほんの少し、杏樹に同情している。
僕は彼女のことを、心の弱い人間だと思っている。威張ったり、悪口を言ったり、気の弱い人をいじめることでしか自分に自信を持てない。他者との関係性の中でしか、自分を確立できない。
そうやって確立したものだって、砂山の上に立っているようなもの。
自分の心に向き合いなよ。と言いたいけれど、通じないだろう。
僕はもう一度、
「ゆらりちゃんを傷つけたら、絶対に許さないから」
と念押しした。