竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
 一際強い風と共に、青い竜がシェイラの目の前に降り立つ。

 近くで見ると見上げるほどに大きくて、やはり恐ろしい気持ちが湧き上がってくる。

 大きな金の瞳が鋭くシェイラを見据えていて、身体が勝手に震えだす。悲鳴をあげてしまわないようにシェイラはぐっと唇を噛むと、竜を迎えるように両腕を広げた。 

 それに応えるように大きく口を開けた竜は、一度低い声で唸った。小さく地面が震えるほどの唸り声に、身を縮めてしまいたくなるのを堪えてじっと竜を見つめ返すと、巨大な竜の姿が一瞬にしてかき消えた。

「……え?」

 思わず目を瞬くシェイラの前には、一人の男が立っていた。竜の鱗と同じ青い髪をした、若い男だ。

 少し釣りあがった目は険しいけれど、まっすぐにシェイラを見つめている。

 さっきの竜がこの男なのだろうかと戸惑うシェイラに向けて、男は右手を差し出した。

 そして、よく響く声でこう言った。

「迎えにきた、我が花嫁」

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