竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
 絶対にここから動かないという無言の抵抗に気づいたのか、イーヴはため息をついてシェイラの頭をくしゃりと撫でた。

「まったく……。今夜だけだからな。ほら、もう遅いから早くベッドに入れ。俺はソファで寝るから」

「だめ、イーヴも一緒にベッドで!」

 ソファに向かおうとするイーヴの腕を慌てて掴み、シェイラはじっと彼を見上げる。鏡の前で練習した上目遣いは、成功しているだろうか。

 しばらく見つめているとイーヴは根負けしたように小さく笑い、シェイラの頭を撫でてくれた。

「分かった。だけど何もしないからな。シェイラも大人しく寝ること。約束できるか?」

「約束します! イーヴ、大好き!」

 イーヴの優しさにつけ込んでいる気がしないでもないけれど、まずは一緒に寝ることに成功してシェイラは笑みを浮かべた。
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