竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
 ベッドに横になると、イーヴも恐る恐るといった様子で隣に寝転がる。だけど、指一本触れないとでもいうかのように距離をおかれて、シェイラは面白くない。

「イーヴ、遠いです」

「これが最大限の譲歩だ。これ以上は近づかないから、シェイラも離れていてくれ」

「少しはその気になってくれるかなって思ったのに」

「それは期待されても困るな」

 さらりとそんなことを言って、イーヴはもう寝るからと背を向けようとしてしまう。

 やっぱりハッピーエンドが約束された物語とは違って、そう簡単にうまくいくものではないみたいだ。露出させてみた胸元を見てもイーヴは何の反応も示さなかったし、張り切った自分が少し馬鹿みたいだ。

 情けない気持ちになりながらため息混じりにボタンを留め直して、それでもシェイラは最後の足搔きとばかりにイーヴの服の裾を引っ張る。
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