竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!? ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
「……っ」
「悪い、辛いことを思い出させた」
急にこみ上げた涙を堪えるように小さく丸めた身体を、イーヴが優しく抱きしめてくれる。あやすように背中を撫でられて、それだけでこわばっていた身体が少しずつ緩んでいく。
「シェイラが求めているのは、そういうことだ。親からもらうはずだった愛情を、俺に求めている。そこにあるのは恋愛感情ではないんだ、シェイラ」
「恋愛感情じゃない……」
シェイラはぼんやりとその言葉を繰り返す。イーヴのことは好きなのに、それは恋愛感情ではないのだろうか。恋愛小説はたくさん読んできたけれど、恋をしたことのないシェイラには分からない。
「よく分からないけど、イーヴのことを好きな気持ちは本当なの。それじゃだめですか?」
「シェイラが、俺のことを好きだといってくれるのは嬉しく思ってる。だけどシェイラの言う『好き』は、親や家族に対する愛情と同じだ」
断言されて、シェイラはうつむいた。確かに、かつて親から与えられなかった愛情をイーヴに求めているのだと言われたら否定できない。もっと触れたい、触れてほしいと思うこの気持ちも、マリエルみたいに愛されたかったという気持ちのあらわれなのだろうか。
反論することもできなくて、ただ唇を噛むことしかできないシェイラの頭を、イーヴがそっと撫でた。優しいそのぬくもりは、やっぱりシェイラの心を安心させてくれる。
「悪い、辛いことを思い出させた」
急にこみ上げた涙を堪えるように小さく丸めた身体を、イーヴが優しく抱きしめてくれる。あやすように背中を撫でられて、それだけでこわばっていた身体が少しずつ緩んでいく。
「シェイラが求めているのは、そういうことだ。親からもらうはずだった愛情を、俺に求めている。そこにあるのは恋愛感情ではないんだ、シェイラ」
「恋愛感情じゃない……」
シェイラはぼんやりとその言葉を繰り返す。イーヴのことは好きなのに、それは恋愛感情ではないのだろうか。恋愛小説はたくさん読んできたけれど、恋をしたことのないシェイラには分からない。
「よく分からないけど、イーヴのことを好きな気持ちは本当なの。それじゃだめですか?」
「シェイラが、俺のことを好きだといってくれるのは嬉しく思ってる。だけどシェイラの言う『好き』は、親や家族に対する愛情と同じだ」
断言されて、シェイラはうつむいた。確かに、かつて親から与えられなかった愛情をイーヴに求めているのだと言われたら否定できない。もっと触れたい、触れてほしいと思うこの気持ちも、マリエルみたいに愛されたかったという気持ちのあらわれなのだろうか。
反論することもできなくて、ただ唇を噛むことしかできないシェイラの頭を、イーヴがそっと撫でた。優しいそのぬくもりは、やっぱりシェイラの心を安心させてくれる。