竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい

色褪せた写真

 結局、イーヴとの距離は縮まらないまま日々は過ぎていく。だけど手を握りながら眠る夜は幸せで、いつもあっという間に寝落ちてしまう。イーヴのぬくもりは、何よりもシェイラを安心させてくれるものだ。



 自室でひとりのんびりと過ごしていたシェイラは、ふぁと小さく欠伸をすると部屋を出た。今日はルベリアが遊びに来る予定だけど、それまでは少し時間を持て余している。調理場には朝一番に顔を出したし、エルフェは買い物に行くと言って外出している。レジスもイーヴも仕事があるから忙しそうなので、構ってほしいなんて我儘を言えるはずがない。

 広い屋敷の中を自由に歩き回ることも楽しいけれど、やっぱりシェイラは誰かと過ごしたいと思ってしまうのだ。
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