竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
「あのね、ルベリア。このことは、誰にも言わないでほしいの」

「え?」

「多分、私が聞かされてないってことは、皆が気を使って黙っているのだと思うから。だから、私はこれから先もソフィさんのことは何も知らないことにする」

「でも、シェイラ……」

 心配そうな表情を崩さないルベリアに、シェイラは明るく笑ってみせる。

「ちょっとびっくりして泣いちゃったけど、もう平気。私ね、ドレージアに来てから本当に幸せなの。皆のことが大好きだから、心配かけたくない」

「それはそうかもしれないけど」

「イーヴなんて優しいから、私がソフィさんのことを知ったって気づいたら、すごく気にしてしまいそうでしょう。だから私は今まで通り、何も知らないふりをしようと思うの」

 じっと見つめると、ルベリアはため息をついてうなずいた。

「分かったわ。だけどシェイラ、ソフィとイーヴは本当に何もなかったのよ。それだけは信じて」

「うん、分かってる。だから、私が泣いていたことも秘密にしてね。びっくりして泣いちゃったけど、今はほら、何ともないから」

 必死で浮かべた笑顔に、ルベリアも納得したようだ。分かったとうなずくのを見て、シェイラはこっそりと身体の力を抜いた。
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