竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
 ルベリアが帰ったあと、シェイラはふらふらとベッドに倒れ込んだ。もう、ここから動ける気がしない。

 一人になったことで気が緩んだのか、堰を切ったように涙があふれ出した。

 このあと、イーヴとどんな顔をして会えばいいのか分からない。ルベリアには強がってみせたけど、イーヴの前で笑えるわけがない。間違いなく泣いてしまう。そうしたら、優しい彼はきっとシェイラを心配するだろう。

 目を閉じると目蓋の裏に浮かぶのは、イーヴとソフィの姿。振り払おうと強く目を閉じても、その姿は鮮明になるばかり。

 イーヴの隣に誰かがいるところを思い浮かべるだけで、こんなにも胸が痛いのに。彼の心がソフィに向けられていることを考えると、息ができなくなるほどに苦しい。

 こぼれ落ちる涙は全然止まらなくて、このままでは体中の水分がなくなってしまうかもしれない。目元は熱を持っているのに、身体は冷え切っていて手足が冷たい。

 シーツの上で丸くなりながら、ぼんやりとした頭の中でシェイラはイーヴの言葉を思い出していた。
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