竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
 シェイラは家族のぬくもりを求めていると彼は言ったけれど、こんな気持ちは両親にもマリエルにも抱いたことない。イーヴには自分だけを見ていて欲しかったのだと、シェイラはようやく気づいた。こんなにも醜い独占欲が自分の中にあったことを初めて知る。

 イーヴは、あの優しい瞳でソフィのことも見つめたのだろうか。シェイラだけに許されると思っていたあの大きな手で、ソフィの頭も撫でたのだろうか。

 二人の間には何もなかったとルベリアは言ったけれど、本当のことは分からない。たとえ表面上は何もなかったとしても、イーヴの心は違ったのだ。

 何度となく迫っても、イーヴは決してシェイラに応えてくれなかった。当然だ、彼の心の中にはソフィがいたのだから。

 シェイラは、強く唇を噛んでシーツを握りしめた。そうしていないと、泣き声が漏れてしまう。

 嗚咽に身体を震わせながら、シェイラは声を殺して泣き続けた。
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