竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
「シェイラ様……、何かありましたか」

 顔を見た瞬間に、エルフェの表情が強張る。やはり酷い顔をしているのだろうと思いつつ、シェイラは無理に笑みを浮かべた。

「何だか眠れなくて。何度も擦ったからかな、目が腫れてしまったみたい」

「すぐに冷やしましょう。今日は仕立て屋が来る予定になっていましたが、中止した方がいいですね。予定は変更しておきますから、ゆっくり休んでください」

「うん、ありがとう」

「体調が悪いわけではないですか? イーヴ様に相談して、医師を呼びましょうか」

 エルフェの提案に、シェイラは慌てて首を振る。大ごとになってしまったら、イーヴにいらぬ心配をかけてしまう。

「平気、体調は悪くないの。少し眠れば良くなると思うから」

「そうですか。朝食はこちらにお持ちしますね。昨晩も食べてらっしゃらないでしょう」

 手のつけられていないトレイを見て、エルフェが困ったように眉を顰めた。心配をかけてしまっていることに申し訳ない気持ちはあるけれど、今も全く空腹は感じない。

「うん、食欲もあまりないから、欲しくなったら言うわ」

「何か食べやすいものを、アルバンに頼んでおきますね」

 気遣ってくれるエルフェに礼を言って、シェイラはまたベッドに戻った。頭はぼんやりとしているけれど、眠気は襲ってこない。シェイラは虚ろな表情で、ただ横になっていることしかできなかった。
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