竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい

 陽が高く昇ってもシェイラは動くことができず、ただひたすら窓の外を見つめていた。エルフェが一度食事を持ってきてくれたけれど、食欲がないからと下げてもらった。

 昨日から丸一日何も食べていないのに、空腹どころか喉の渇きすら感じない。なのに涙は止まらなくて、このまま干からびてしまうかもしれないと馬鹿げたことすら頭をよぎり、それも悪くないと思ってしまう。イーヴのことを恋しく思う気持ちがこれ以上育たないように、枯れてしまえばいい。

 

 ただ眠いだけだからという言い訳は当然ながらあっという間に通じなくなり、昼過ぎにはエルフェが深刻な表情で体調が悪いのではないかと聞いてきた。

 何でもない、平気だからと言ったところで、全く食事をとっていない状況とシェイラの表情を見ればそれが嘘であることは明らかだったのだろう。頑なに口を閉ざすシェイラを見て、エルフェは困ったようにため息をついて部屋を出て行った。
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