竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
 痛いほどの強さで抱きしめながら、イーヴはシェイラの耳元に震える吐息を落とした。

「……ごめん、最初から説明しておけばよかったな。隠すつもりはなかったんだけど。確かに俺は、ソフィのことを今も忘れられない。でもそれは、シェイラが思うようなことではないんだ」

「どういう、こと?」

 ぽつりとつぶやくと、イーヴが少し腕を緩めてシェイラの顔をのぞき込む。頬に残る涙の痕を指先で拭うと、どこか泣き出しそうな儚い笑みを浮かべた。
< 136 / 202 >

この作品をシェア

pagetop