竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
「どうか、俺を受け入れて」

 願うようにつぶやいたイーヴが、ゆっくりと顔を近づけてくる。これはキスの合図に違いないと目を閉じたシェイラの額に、そっと柔らかなものが押し当てられる。

「……おでこ」

 てっきり唇にもらえると思っていたのに、肩透かしをくらってシェイラは小さく唇を尖らせた。それを見たイーヴが、また小さく笑う。

「目を閉じてて、シェイラ」

「またおでこは、嫌です」

「ちゃんとするから。喋ってたら、できない」

「あっ」

 その通りだなと慌てて目も口も閉じたら、近づいてくるイーヴの吐息が微かに頬に触れた。緊張で思わずぎゅうっと目を閉じた瞬間、唇にあたたかなものが触れた。一度目は躊躇いがちに、二度目は確認するようにそっと押しつけられたのは、間違いなくイーヴの唇。

 それは、額にもらう口づけよりもずっと柔らかく、優しくて甘い。

 これ以上幸せなものを知らないと思いながら、シェイラは何度も柔らかく触れるキスをうっとりと受け入れた。
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