竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
 何度も何度も、角度を変えて重ねられる唇を受け入れながら、シェイラは思わずイーヴの服を掴んだ。

キスを交わすたびに身体の力がどんどん抜けていく。唇が離れる合間に息継ぎをするけれど、それだけでは足りなくて呼吸が荒くなる。

「ん……っ待っ、イーヴ……、息、苦し……」

「ごめん、つい」

 厚い胸板を叩いて訴えると、慌てたようにイーヴが離れていく。呼吸を整えていると、困ったようなため息が降ってきた。



「ずっと我慢してたから、自制が効かなくなりそうだ」

「我慢?」

「隣で気持ちよさそうに眠ってるシェイラに、どれだけ触れたかったことか。毎晩、忍耐力を試されてたよ」

「我慢なんてしなくて良かったのに。私も、ずっとこうしたかったです」

 ぎゅっと抱きついて胸元に頬を擦り寄せると、小さく笑ったイーヴが頭を撫でてくれた。そのぬくもりに微笑みつつ、シェイラはイーヴを見上げた。

「あのね、前にイーヴは言ったでしょう。性行為というのは好きな相手とするものだって」

「え? あぁ、そうだな」

「だから、私はイーヴとしたいです。痛いのだって、平気です。こう見えて私、結構丈夫なんですよ」

 胸を張ってみせると、苦笑を浮かべたイーヴと目が合う。
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