竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
「やっぱり嫌だったか」

 シェイラのため息に気づいたのか、イーヴが不安げな表情で顔をのぞき込んでくる。

 そんなことないと笑って首を横に振って、シェイラは彼の胸元に抱きついた。

「嫌なんてこと、ないです。ただ……、本で読むのと、実際に体験するのでは大違いだったけからびっくりしただけ。でも、現実の方がずっと素敵でした」

 素直な感想を述べると、イーヴが肩を震わせて笑った。

「そうだな。だから、少しずつ慣らしていこうな」

「今日は、もうおしまい?」

「不満か?」

 イーヴの言葉に、シェイラは少し考えて首を左右に振った。もっとイーヴに触れたい気持ちはあるけれど、きっともっと時間をかけることも大事だ。

「でも、また……したいです」

「ん、そうだな。また、ゆっくりとな」

 優しく笑ったイーヴに頭を撫でられ、もう今夜はおしまいだというように毛布で身体を包まれる。すぐそばにある彼のぬくもりが恋しくて、シェイラはイーヴの胸元に頬を擦り寄せると目を閉じた。

「おやすみなさい、イーヴ。大好き」

「うん。おやすみ、シェイラ」

 額に触れるだけのキスをもらい、幸せに包まれながらシェイラはあっという間に眠りに落ちた。

 




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