竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
「シェイラ、久しぶり! 会いたかったわぁ」

「私も会いたかった!」

 会うなりぎゅうっと抱きしめられて、シェイラはくすくすと笑いながら背中に手を回して抱きしめ返す。それを見たイーヴは、少し不満気な様子で咳払いをした。

「ルベリア、シェイラが潰れたら困る。友人として適切な距離感を保て」

「あら珍しい、イーヴがそんなことを言うなんて。……って、あぁ、そういうこと」

 シェイラを抱きしめる腕を緩めたルベリアは、一瞬怪訝な表情を浮かべたものの、シェイラの腕に光るバングルを見て納得したようにうなずいた。

「あらぁ、いつの間に? やだもう、教えてよ!」

「個人的なことだし、わざわざ伝える義理もないだろう」

 微かに顔を赤くして視線を逸らすイーヴを見て、ルベリアはシェイラの腕をがっしりと掴んだ。

「おめでとう、シェイラ。名実ともにイーヴの花嫁になれたのね。詳しい話、じっくりと聞かせてもらうわよ」

「余計なことは言わなくていいからな、シェイラ」

 うしろから追いかけてくるイーヴの声に笑いながら、シェイラはうなずいた。
< 154 / 202 >

この作品をシェア

pagetop