竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
「このバングル、イーヴの鱗から作ったものでしょう」

「うん、少し前にイーヴがくれたの。綺麗でしょ」

「前にも言ったけど、竜族にとって鱗というのはとても大切なものなの。その鱗を他の誰かに捧げるということは、自分の心を捧げるのと同じ。竜族にとっては、求愛行為なのよ」

「求愛……」

 バングルを見つめながら、シェイラは真っ赤になった頬を押さえた。いつだってシェイラは、イーヴにもらってばかりだ。甘い言葉も行動も、うっとりするほどのキスも、そして愛情すらも。

「私、イーヴにもらってばかり。何も返せないのに」

「そんなこと、気にする必要ないと思うけど。だけど、シェイラも何か物を贈るのはいいかもしれないわね。今日、どこかお店に見に行ってみる?」

「うん! イーヴにも、何か身に着けられるものを贈りたいな」

 出がけにレジスから、いくらかのお金を持たせてもらっている。そのお金の出どころは結局イーヴなのではと思わなくもないけれど、ほとんど身一つでドレージアに来たシェイラは、財産と呼べるものを持っていないのだ。

「じゃあ、どこかアクセサリーを売っている場所に行きましょうか。シェイラが選んだものだって知ったら、きっとイーヴも喜ぶわね」

 笑顔で手を差し出されて、シェイラはうなずいた。美しい金の瞳を持つイーヴには、きっと金のアクセサリーがよく似合うだろう。
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