竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
「ごめんね、シェイラ。嫌なものを見せてしまったわ」

 ベルナデットの姿が見えなくなってから、ルベリアがようやく肩の力を抜いて息を吐く。

「ううん、平気」

「本当にあれは、我が黒竜一族の恥なのよ」

 頭痛を堪えるように額を押さえながら、ルベリアがベルナデットの去っていった方向をにらみつける。

 彼女は、ルベリアと同じ黒竜一族の娘なのだという。血の繋がりがあるなんて認めたくもないけれど、従姉なのだとルベリアはため息まじりに教えてくれた。

 派手に装うことが大好きな浪費家のベルナデットは、甘やかされて育ったせいか我儘で、欲しいものは何でも手に入ると信じている。年の近いルベリアとは何かと比べられがちで、お互いに嫌いあっているから、会うのは良くて十数年に一度。

 昔から幼馴染であるイーヴを気に入っているようだったけれど、先程の口調を考えると本気でイーヴを狙っているのかもしれないと、ルベリアは眉を顰めた。

「前にイーヴがソフィを迎えた時にも、何やら文句を言っていたのは覚えているの。年を考えると、自分がイーヴの妻になれると思い込んでいたんじゃないかしら。イーヴにはそんな気持ち、これっぽっちもなかったと思うけど」

 面倒なことになりそうだわと、ルベリアは何度目かのため息を落とした。
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