竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
「わたくし、前にイーヴ様に言われたのよ。どうせ人間なんて数十年で死んでしまうのだから、それまで待っていてほしいって。だけど、今すぐおまえがいなくなれば、イーヴ様は自由になれる。そうしたら、わたくしのもとに来ることができるでしょう」

「何を……」

 唇を震わせたシェイラを見て、ベルナデットはにこりと笑った。そしてすっと立ち上がると、シェイラを押さえつけている男に目くばせをした。


「淫紋をつけてやって。とびっきり強力なやつをね」

「ですがお嬢様、人間相手に……」

「それでこれが狂って死のうが、わたくしには関係ないもの。どうせ娼館に売り飛ばすんだから、近い未来に廃人になることは決まっているんだし、さっさとなさいな」

 冷たく言い捨てたベルナデットの言葉に、男は小さくため息をついた。

「……だとさ。悪く思うなよ、お嬢ちゃん。まぁ、すぐに何も分からなくなると思うが」

「や、嫌……っ」

 逃げようとしても押さえつけられた身体はびくともしない。せめて首を振って拒絶の意思を示すものの、それが聞き入れられるはずもない。男の手には白く光る札が握られていて、それに触れてはならないことだけは分かる。

「まぁ、安心しな。これが発動したら、気持ちいいこと以外は何も考えられなくなるから」

「やだ……っ、嫌、やめて!」

 どんなに悲鳴を上げても、男の腕は揺るがない。乱暴に服を捲り上げられ、下腹部に男が札を近づける。

 もう逃げられないことを悟ったシェイラは、強く目を閉じた。
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