竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
 何度も口づけを交わしながら、二人はベッドへと向かう。横たわったシェイラを見下ろして、イーヴがそっと頬を撫でた。

「シェイラ……、今夜は」

「うん。今夜こそは、イーヴとひとつになりたい。私の全てをイーヴのものにして欲しいの」

 まだ少し躊躇うような彼の手を引き寄せて、シェイラははっきりと告げる。

 番いの証を刻んでも、まだ足りない。身も心もイーヴでいっぱいにしてもらわなければ、満足できない。

 自分の中にこんなにも欲深い気持ちがあったことに驚きつつも、それこそが番いの執着なのだろうと思う。

「本当にシェイラは……俺の予想をいつも飛び越えてくる」

「だって、好きなの。もっと深く、強くイーヴと結びつきたい」

「最高に可愛い誘い文句だな、シェイラ。……できるだけ、優しくすると約束するから」

「イーヴはいつだって優しいってこと、私が一番よく知ってるから大丈夫です」

 そう言ってうなずくと、嬉しそうに微笑んだイーヴがゆっくりとシェイラを抱きしめた。



 初めてお互いのぬくもりを分け合って過ごした夜は、本で読むよりもずっと素敵で、うっとりするほどに甘かった。

 何度も愛を囁かれ、数えきれないほどにキスをした。

 空が白んでくるころ、二人は寄り添って柔らかな眠りに落ちた。
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