竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
「美味しかったぁ」

 食事を終え、満腹になって幸せな気持ちで息を吐くと、うしろから抱きしめるように座ったイーヴが頭を撫でてくれた。そのまま身体を預けると顔が近づいてきて、そっとキスされる。金の瞳がじっとシェイラを見つめていて、それだけで身もだえするほどの幸せに襲われる。

「デザート代わりに、菓子もあるけど」

「んー、まだお腹いっぱいだからあとにしようかな」

「じゃあ、本でも読むか」

 そう言って、イーヴがバスケットの中から本を取り出した。何故かリボンでラッピングされたそれを受け取ったシェイラは、目を丸くした。いつもシェイラが読んでいた恋愛小説の続編だ。ラグノリアで読んでいたものよりも大人な描写は控えめだけど、甘いストーリーがお気に入りで、シェイラはいつもエルフェやルベリアと熱く感想を語り合っている。

「わぁ、このシリーズ大好きなの!」

「誕生日プレゼントだ。おめでとう、シェイラ」

「わぁ、誕生日プレゼント……! 嬉しい! ありがとう、イーヴ。ここに連れてきてもらっただけでも嬉しかったのに、プレゼントまでもらえるなんて」

 生まれて初めて誕生日を祝ってもらい、更にプレゼントを大好きな人からもらえるなんて幸せでたまらない。本を抱きしめて喜びを嚙みしめていると、イーヴが笑って顔をのぞき込んだ。

「今日は、たくさんお祝いしような」

 もうひとつ、これもプレゼントだと囁いてイーヴがそっと優しいキスをくれた。
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