竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
「じゃあ、行くか」

 そう言ってイーヴが目を閉じた瞬間、その姿は青い竜へと変わる。身体を屈めてくれた彼の背中に登りながら、透き通った青い鱗と同じ輝きを放つ指輪が左手にあるのを確認して、シェイラは小さく笑った。

「しっかり掴まってろよ」

「はぁい」

 シェイラがうなずいてたてがみを掴んだのを確認して、イーヴがふわりと飛び立った。花の灯りを揺らさないようにと気遣ってか、いつもより速度はゆっくりだ。

 気づけば空は暗くなり、瞬く星の数も増えてきた。

 シェイラたちのあとを追うようについてきた光虫たちが、まるで流れ星のようにふわふわと光の軌跡を描く。

 手を伸ばしたシェイラの指先に止まった光虫を、髪に飾った花の中にも入れれば、顔のまわりがほわりと明るくなった。
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