竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!? ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
「……お姉様」
囁くような声に顔を上げると、目の前にはシェイラと同じ顔をした妹のマリエルが立っていた。
透き通るような青い瞳に涙を溜め、今にも泣き出しそうな顔をする双子の妹を見つめて、シェイラは微かに笑顔を浮かべてみせる。彼女が泣くことではないのに。
マリエルはこの国の聖女だ。周囲を黒い森に囲まれたラグノリア王国は、竜族の加護と聖女の祈りによって守られている。
森の中では至る所で瘴気が発生しており、生身で踏み入ればたちまち動けなくなってしまう。そんな瘴気から国を守っているのが、聖女の祈りによって構築された結界と、空高く翔ける竜による保護魔法。
かつてこの国の民が傷ついた竜を助けたことから、空の上に住む竜族はラグノリアの国土を保護魔法で守ってくれている。そんな竜族との繋がりを断たないためなのか、ラグノリアではおよそ数十年に一度、太陽が大きく翳る年に生まれた双子の姉妹の片方を、竜族に生贄として差し出すことになっている。今回は、それがマリエルとシェイラだった。
囁くような声に顔を上げると、目の前にはシェイラと同じ顔をした妹のマリエルが立っていた。
透き通るような青い瞳に涙を溜め、今にも泣き出しそうな顔をする双子の妹を見つめて、シェイラは微かに笑顔を浮かべてみせる。彼女が泣くことではないのに。
マリエルはこの国の聖女だ。周囲を黒い森に囲まれたラグノリア王国は、竜族の加護と聖女の祈りによって守られている。
森の中では至る所で瘴気が発生しており、生身で踏み入ればたちまち動けなくなってしまう。そんな瘴気から国を守っているのが、聖女の祈りによって構築された結界と、空高く翔ける竜による保護魔法。
かつてこの国の民が傷ついた竜を助けたことから、空の上に住む竜族はラグノリアの国土を保護魔法で守ってくれている。そんな竜族との繋がりを断たないためなのか、ラグノリアではおよそ数十年に一度、太陽が大きく翳る年に生まれた双子の姉妹の片方を、竜族に生贄として差し出すことになっている。今回は、それがマリエルとシェイラだった。