竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!? ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
着替えを終えたシェイラは、再びソファに腰を下ろす。
スカートの上に幾重にも薄い布を重ねたドレスは、軽くてシェイラの動きに合わせてふわふわと広がって揺れる。
腰のベルトや手首の飾りは全て金色の繊細な鎖で、これも動くたびにしゃらりと涼やかな音をたてた。
上半身にもスカートと同じ薄布がリボンのようにあしらわれていて可愛らしく、まるでお姫様のようだなとシェイラは思う。
「明日、仕立て屋を呼びましょう」
テーブルの上にいい香りのするお茶を置きながら、エルフェが言う。どういうことかと首をかしげると、エルフェは眉を寄せて小さくため息をついた。
「シェイラ様は、その……随分と華奢でいらっしゃるから」
言葉を濁すエルフェを見て、シェイラはうつむいた。
「ごめんなさい……私、貧相だから」
着替えを手伝ってくれたエルフェが、服が大きすぎると何度か困ったようにつぶやいていたのを覚えている。イーヴをはじめとして、レジスもエルフェも皆、背が高くて身体つきもしっかりとしている。シェイラは背も低いし、痩せていてみすぼらしいのだろう。
なんだか申し訳なくなり、うつむいてスカートを握りしめたシェイラを見て、エルフェは慌てたように首を振った。