竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
「ラグノリアは、私の故郷です。妹が、今も聖女としてあの国を守っています。こんな私がお役に立てるかどうかは分かりませんが、どうかこの先もラグノリアをお守りください」

 必死の表情で訴えると、エルフェは困ったような笑みを浮かべながらうなずいた。

「竜族がラグノリアを守るのは、これから先も変わらないでしょう。ですが、花嫁様の処遇に関してはイーヴ様にも一度報告しておいた方が良いですね。シェイラ様は生贄ではなく、花嫁としてここに迎えられたのですから」

「花嫁……」

 あらためて、噛みしめるようにシェイラはつぶやく。

 生贄として喰われる覚悟でいたのに、成人を迎えたら死ぬのだと思っていた人生が、本当にこれからも続いていくのだろうか。

 竜族の国へ連れてこられ、手厚い歓迎を受けている現状を、シェイラはまだ信じられずにいた。
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