竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい

最初の夜

 食事を終えたシェイラは、再び自室に戻ってきた。

 大して汗もかいていないのに浴室に案内され、その豪華さに目を見張ると、またエルフェに痛ましげな表情で見つめられてしまう。

 どうもシェイラのラグノリアでの生活は、竜族の人々にとっては酷いものと捉えられているようだ。シェイラ自身はあの生活に不満を覚えたことはないけれど、こうしてエルフェやイーヴに優しくしてもらえるのは嬉しいと思う。



 入浴を終えたシェイラは、さっぱりとした気持ちでソファに座った。ゆっくりと湯に浸かるのは初めてだったけれど、うっかり眠ってしまいそうなほどに心地よかったし、たっぷりの泡で身体を洗ったので、石鹸のいい香りが今も身体を包み込んでいる。

 ラグノリアでも週に一度はシャワーを浴びていたけれど、使える水の量は限られていたし、石鹸もこんなにいい香りではなかった。

 ここでは何をするのも贅沢なものばかりで、嬉しい反面まだ少し落ち着かない。いずれはこの贅沢にも慣れるのだろうか。
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