竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
 自室に戻ると、エルフェが迎えてくれた。部屋にいなかったことについては何も触れられないので、きっとイーヴから連絡がいっていたのだろう。

 昨日とはまた色の違う、可愛らしい服を着せてもらって、シェイラは嬉しくなって鏡の前でくるりと回ってみる。動くたびに身体に沿って柔らかく揺れる袖やスカートを見るだけで、シェイラの気持ちもふわふわと浮き上がるようだ。



 食堂に行くと、イーヴはすでにテーブルについていた。

 何か違和感があると思ったら、少しテーブルが小さくなっている。もちろんそれでも豪華なのだけど、椅子に座るとイーヴとの距離が昨日よりも近い。

 イーヴの前には見るからに苦そうなコーヒーが置いてあって、シェイラは思わず興味津々で身を乗り出してしまう。

「飲みたいのか?」

「ちょっと……興味があります。コーヒーって、一度飲んでみたかったんです」

 読んでいた本の中に登場したことはあったけれど、ラグノリアでシェイラに出されるのは水か、体調を崩した時の薬湯だけだったから。

 そう伝えるとまたイーヴの眉が顰められたけれど、彼は気を取り直したように小さく息を吐いてカップをシェイラに差し出した。
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