竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
「はい、イーヴが優しい人なのは、私も知ってます。花嫁として至らないことばかりだと思いますが、頑張ろうと思ってます!」

「ルベリア、言っておくが形だけの花嫁だからな。シェイラも、無理に何かをしようなんて考える必要はない」

 訂正するようなイーヴの言葉に、シェイラは少しだけ唇を尖らせる。こんなにも良くしてもらっているのに、それではシェイラは何も返せない。

「形だけでも何でも、こうやって信頼されてるのを見られただけであたしは安心したわ。本当に良かったわねぇ、イーヴ」

 しみじみとした口調でルベリアがつぶやく。その言葉には長年の二人の付き合いが垣間見えるような気がして、シェイラは少しだけ複雑な心境になった。

 その気持ちが何故湧き起こるのか分からなくて、もやもやした気持ちを隠すようにシェイラは笑みを浮かべた。 
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