竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
「ねぇ、シェイラ。まだ外には出ていないんでしょう? あたしとお出かけしましょうよ。色々と案内するわよ」

「えっと……」

 どうすればいいかと返事に迷ってイーヴを見上げると、優しい笑みが降ってきた。

「行きたいなら、行っておいで。だけど、まだ外に出るのが不安なら、無理はしなくていい」

 自分で決めていいのだというようなその言葉に、シェイラは首をかしげて考え込む。少し圧の強めなルベリアに戸惑う気持ちはあるけれど、自由に外出なんて今までしたことがなかったから、行ってみたい気持ちはある。

 しばらく考えたあと、シェイラはおずおずとルベリアを見上げた。

「あの、連れて行ってくださいますか? ルベリアさん」

「ルベリアでいいわよ。もちろんだわ、お出かけしましょうね、シェイラ」

 嬉しそうに笑ったルベリアは、優しくシェイラの頭を撫でてくれた。



 イーヴから、シェイラに用意した服が大きすぎるという話も聞き出したルベリアは、それならと彼女が懇意にしている仕立屋も外出の行き先に加えてくれた。

「本当に華奢ねぇ、シェイラ。あたし馬鹿力だから、気をつけないと怪我させちゃいそうだわ」

 シェイラの手首に指をまわして、細いと驚きながらルベリアが苦笑する。

 見るからに高級な店に連れて行かれてシェイラは内心慄いていたのだけど、金に糸目はつけなくていいとイーヴから言われているとルベリアは次々とドレスをオーダーしていく。

 背も高くて派手な顔立ちのルベリアに最初は少し気後れしていたシェイラも、何かと話しかけてくれる彼女の明るさにあっという間に打ち解けた。
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