竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
 ラグノリアでの生活を聞いたルベリアは、やはりイーヴたちと同じように顔をしかめたあと、優しく抱き寄せてくれた。

「竜族がラグノリアから花嫁を迎える慣習自体を、考え直すべきかもしれないわね」

「でも、竜族の守りがないとラグノリアは崩壊してしまいます。そのために私はここに来たんですから」

 困ったように眉を下げたシェイラの頭を撫でて、ルベリアは笑みを浮かべる。

「それについては問題ないわ。竜族は、一度交わした約束を違えることは決してしないから。そうね、あたしからも長に進言してみるわ。シェイラみたいな子を、これ以上増やしたくないもの」

 シェイラをぎゅうっと更に強く抱きしめて、ルベリアは力強くうなずいた。彼女は黒竜の一族の末娘で、当主である祖父が今はドレージアの長を務めているらしい。

 自分のことはともかく、生贄として育てられる子供がいなくなることは望ましいとシェイラも思う。生贄や花嫁といった慣習がなくても竜族がラグノリアを守ってくれるのなら、それが一番だ。

「ラグノリアを守ることが最優先ですけど、もしもこの慣習がなくなるなら……、嬉しいです」 

 シェイラのつぶやきに、ルベリアは笑ってうなずいてくれた。

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