竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!? ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
中でも屋敷の調理場は、シェイラのお気に入りの場所になった。
立派な顎髭が目を惹く料理人のアルバンは、七百歳を超えるという竜族としては老年期にさしかかる年でありながら熱量にあふれた男だ。彼はまるで孫のようにシェイラを可愛がってくれて、いつもシェイラが調理場に顔を出すたびに、ちょっとした菓子をくれる。
何種類もの料理を同時進行で一気に作り上げていく様子はいつまででも見ていられるほどで、シェイラはアルバンの仕事を見学しながらお菓子を食べる時間がとても好きだ。
イーヴと同じように、食の細いシェイラを心配した彼が調理方法やメニューを工夫してくれたおかげで、以前よりも格段に食べる量が増えた。とはいえ今もシェイラは毎日のように、イーヴにもっと肉を食えと言われているけれど。