竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
 エルフェやレジスのあとをついて回ったおかげで、屋敷内にも随分詳しくなった。シェイラの部屋から調理場に行くのには、中庭を横切るのが一番の近道だ。

 朝食をシェイラが準備したのだと伝えたら、イーヴはどんな顔をするだろう。驚くだろうか、それとも笑って頭を撫でてくれるだろうか。

 イーヴに頭を撫でてもらうのは、とても好きだ。アルバンもよく頭を撫でてくれるけれど、それよりももっと心がふわふわとした気持ちになる。



 中庭へ続く扉を開けると、花の香りが色濃く漂った。朝露にしっとりと濡れた花が、太陽の光を受けてきらきらと輝いているのがまるで宝石のようだ。朝食のテーブルに庭で摘んだ花を飾るのもいいかもしれないと思いついて、シェイラはあとでレジスに聞いてみようと決める。
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