竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!?  ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
 花壇を抜けて四阿の角を曲がれば調理場の裏口だ。まるで道案内をするように少しずついい匂いが強くなるのをたどりながら、シェイラは弾むような足取りで中庭を進む。

 背丈を越すほどによく伸びた蔓薔薇の茂みを抜けた瞬間、広く開けた芝生の上に誰かがいることに気づいてシェイラは足を止めた。こちらに背を向けているし上半身裸だけど、見覚えのある青い髪は間違いなくイーヴのもの。汗に濡れているせいかいつもより色濃い青が、妙に妖艶に見える。
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