竜族に生贄として捧げられたはずが、何故か花嫁として溺愛されています!? ――――青き竜は、不遇な令嬢をひたすら甘やかしたい
「基本的には人の姿で生活をするが、時々は竜になって空を飛ぶ……かな。そうしないと、何だか身体がむずむずするんだ」
「柔軟体操みたいなものですかね。私もラグノリアでは運動不足にならないように部屋でよくしてましたよ」
「まぁ、そんな感じだ。アルバンなんかは仕事終わりに毎晩空を飛んでるし、ルベリアもここへ来るときは基本的に空を飛んできているはずだ」
毎日のようにやってくるから近所だと思っていたのだが、ルベリアの住む屋敷は人の足では半日ほどかかるほど離れた場所にあるらしい。竜の姿なら空を飛んであっという間に来れると聞かされて、シェイラは驚きつつもうなずいた。
「じゃあ、イーヴも?」
シェイラの問いに、イーヴは何故かぴしりと固まってしまった。
「そりゃ、まぁ……俺も、時々は」
「また見てみたいです、イーヴの竜の姿」
あの綺麗な竜をまた見たいと思わず口にしたら、イーヴは真剣な表情でシェイラの方に向き直った。